東洋医学とがん患者さんの症状管理とQOL

がんに苦しむ患者さんの症状を和らげ、生活の質(QOL)を高めるため、鍼治療や太極拳などの東洋医学的アプローチが注目されています。中国、アメリカ、オーストラリアなど世界の研究者が67件の臨床試験(5465人の患者さんが参加)のデータを分析したところ、以下のような効果が示唆されました。

  • 鍼治療は、痛み、疲労、睡眠障害、消化器症状などを軽減する
  • 推拿(中国式マッサージ)は、消化器症状を和らげる
  • 中医学五行音楽療法は、うつ症状を改善する
  • 太極拳は、乳がん患者の肺活量を高める

一方で、ほてりの回数やストレス気分に対する効果は認められませんでした。また、生活の質については鍼治療と推拿で改善が見られましたが、乳がんサバイバーの太極拳と気功では効果がはっきりしませんでした。

これらの東洋医学的アプローチは、がんの標準治療に組み合わせることで、患者さんの症状緩和とQOL向上に役立つ可能性があります。ただし、臨床試験の質にばらつきがあるため、さらなる検証が必要とされています。東洋医学とがん治療の融合に向けて、より精度の高い研究が求められるでしょう。

【参考文献】
Tao WW et al. Effects of Acupuncture, Tuina, Tai Chi, Qigong, and Traditional Chinese Medicine Five-Element Music Therapy on Symptom Management and Quality of Life for Cancer Patients: A Meta-Analysis. J Pain Symptom Manage. 2016 Apr;51(4):728-747. doi: 10.1016/j.jpainsymman.2015.11.027.