「夜中に肩が痛んで目が覚める」「痛い方を下にして寝られない」といったお悩みはないでしょうか。
これは「変形性肩関節症」や、いわゆる五十肩などでよく見られる「夜間痛」と呼ばれる症状です。夜間痛が続くと、睡眠不足によって疲労が蓄積し、日中も痛みに敏感になってしまうという悪循環に陥ることがあります。
本記事では、なぜ夜になると肩が痛むのか、その理由を分かりやすく解説し、バスタオルやクッションを使ってご自宅で実践できる「肩に負担をかけない寝方」についてご紹介します。
1. 夜間就寝時に肩が痛む理由
日中は気にならない痛みが、布団に入ると強くなるのには、主に3つの理由があります。
肩の関節が圧迫されるため
立っている時や座っている時は、腕の重みによって肩の関節には自然な隙間ができています。しかし、横になって寝ると腕の重みがなくなるため、この隙間が狭くなります。さらに、寝る姿勢によっては肩が圧迫され、関節内部の圧力が高まることで強い痛みが生じます。
硬くなった筋肉や組織が引き伸ばされるため
肩の軟骨がすり減ったり炎症が起きたりすると、肩の周りの筋肉や関節を包む組織が硬く縮こまってしまいます。寝ている間に腕が背中側に落ちたり、体の前に垂れ下がったりすると、この硬くなった部分が無理に引き伸ばされて痛みが出ます。
血流が低下し、痛みの物質が滞留するため
夜間は体を動かさないため、肩周辺の血流が低下します。すると、日中の活動で生じた痛みの原因となる物質が肩の周りに滞留しやすくなり、痛みに敏感になります。
2. 痛みを和らげる寝方の工夫
夜間痛を和らげるための要点は、「肩の関節に負担がかからない、自然な位置(ニュートラルポジション)」を保つことです。ご家庭にあるバスタオルやクッションを使った具体的な工夫をご紹介します。
仰向けで寝る場合
仰向けでそのまま寝ると、重力によって肩が布団に沈み込み、腕が体より後ろに下がってしまいます。これが肩の前側を無理に引き伸ばす原因となります。
具体的な方法
痛む側の肩の裏側から肘の下にかけて、折りたたんだバスタオルや薄めのクッションを敷きます。肩と布団の間の隙間を埋め、肘が肩と同じか、わずかに高くなるように調整してください。さらに、お腹の上に薄いクッションを置き、その上に手を乗せると肩がより安定します。
横向きで寝る場合
横向きで寝る際は、痛む側の肩を絶対に下にしないことが大切です。体重が直接かかると、肩の内部の圧力が高まり、痛みが強くなります。
具体的な方法
痛みのない側を下にして横になります。この時、上になった痛む腕が体の前に垂れ下がらないよう、胸の前に抱き枕や厚手のクッションを置き、その上に腕を乗せて抱え込むようにします。腕を高い位置で支えることで、肩の筋肉が過度に引き伸ばされるのを防ぐことができます。
| 寝る姿勢 | 避けるべき姿勢 | 推奨される工夫 | 目的・効果 |
|---|---|---|---|
| 仰向け | 何も敷かずに寝る(肩が布団に沈み込む) | 肩から肘の下にバスタオルを敷き、隙間を埋める | 肩が後ろに下がりすぎるのを防ぎ、関節の圧力を下げるため |
| 横向き | 痛む側を下にする、腕を前に垂らす | 痛む側を上にし、胸の前に置いた抱き枕に腕を乗せる | 体重による圧迫を防ぎ、筋肉が無理に引き伸ばされないようにするため |
3. まとめと受診の目安
「肩の下にタオルを敷く」「抱き枕を使用する」といった工夫により、肩関節への負担を減らし、夜間痛を和らげることが期待できます。
ただし、これらの工夫は痛みを緩和するための一時的な対処法であり、変形性肩関節症などの根本的な原因を治療するものではありません。
- 寝方を工夫しても痛みが軽減しない
- 日中、腕を上げる動作に支障がある
- 痛みが長期間続いている
このような場合は、肩の変形や炎症が進行している可能性があります。自己判断で放置せず、整形外科を受診し、医師による適切な診断と治療(投薬、注射、理学療法など)を受けることをお勧めいたします。
