近年、AIの目覚ましい発展により、様々な分野でAIの活用が進んでいます。医療の分野でも、AIを用いた診断や治療の可能性が探られています。その中で、東洋医学の領域に目を向けたとき、AIの活用は鍼灸よりも養生の分野で進みやすいのではないかと考えました。
鍼灸は、熟練した鍼灸師が患者の体の状態を直接診察し、経穴に針を刺入することで治療を行います。この過程では、鍼灸師の経験と技術、患者とのコミュニケーションが非常に重要です。AIがこれらの要素を完全に置き換えることは難しいでしょう。一方、養生は、日常生活の中で自分自身の体の声に耳を傾け、健康を維持・増進するための実践です。ここにAIを活用することで、自己管理型の健康法との親和性が高まります。
特に、チャット型AIは、ユーザーとの対話を通じて、自分の身体への意識を高め、健康管理をサポートする有望なツールです。AIとの対話により、ユーザーは自分の体調や生活習慣を言語化し、客観的に捉えることができます。これは、自己認識を深めるための重要なプロセスです。また、AIは、ユーザーの状態に合わせて的確なアドバイスを提供し、健康管理へのモチベーションを維持する効果も期待できます。
ただし、AIはあくまでも補助的なツールであり、ユーザー自身が主体的に健康管理に取り組むことが大切です。AIとの対話を通じて得た気づきを、実際の行動に移すのはユーザー自身の責任です。AIを上手に活用しながら、自分の身体と向き合い、健やかな生活を送ることが理想だと言えるでしょう。
鍼灸と養生、両者ともに東洋医学の重要な実践ですが、AIの活用という観点からは、自己管理型の養生との親和性がより高いと考えられます。今後、AIとユーザーとの対話がさらに洗練されていくことで、養生の分野でもAIの活躍が広がっていくことが期待されます。AIを上手に取り入れながら、伝統的な養生の知恵を活かしていくことが、これからの時代に求められているのかもしれません。